【暴露】あなたが「何度も見た情報」を真実だと思うように仕組まれている



目覚めた人しか知らない常識 その01

同じ話を、最近何度も見かけませんでしたか。

健康法、政治の噂、有名人の疑惑、危険な食品、世界を裏から動かす組織。最初に見たときは「さすがに怪しい」と思ったはずなのに、三度、四度と流れてくるうちに、こう感じ始める。

「これだけ多くの人が言っているなら、何かあるのでは?」

いい加減、目覚めてください。

何度も見た。それだけで、信じる理由が増えたように感じてしまう。だからこそ、見覚えだけを根拠に信じたり、広めたりしてはいけません。

あなたが目にしている「多くの人の証言」は、同じ情報の転載かもしれません。そして人間には、同じ情報に繰り返し触れるだけで、それを以前より真実らしく感じる傾向があります。

彼らは、同じ話を何度も見せています。

ただし、ここでいう“彼ら”の正体は秘密結社ではありません。

あなたの脳です。


脳内に仕掛けられた「真実性錯覚」

心理学では、繰り返し目にした情報を真実らしく感じやすくなる現象を「真実性錯覚(illusory truth effect)」と呼びます。

2010年に公表されたメタ分析では、反復と真実らしさの評価を扱った51件の研究が検討され、繰り返された情報が、初めて見る情報より真実だと評価されやすい傾向が確認されました。[研究1]

なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。

有力な説明の一つが「処理の流暢性」です。以前に見た情報は、初めて見る情報より処理しやすく、その“処理しやすさ”が“正しさ”の判断に影響することがある、という説明です。

たとえるなら、こうです。

  1. 見たことがある
  2. 読みやすい
  3. 頭に入りやすい
  4. なんとなく正しそう

証拠は、この流れのどこにも登場していません。


一度見ただけでも、仕掛けは作動する

2018年の研究では、実際のSNS投稿に近い形式の偽ニュース見出しを使った実験が行われました。その結果、事前に一度見た見出しは、初めて見た見出しより正確だと評価されやすくなりました。この傾向は同じ実験中だけでなく、1週間後にも観察されています。[研究2]

しかも、効果が見られたのは、自分の政治的立場に合う情報だけではありませんでした。第三者のファクトチェックで異議が示されている旨の表示が付いた情報でも、先に見ていたことが正確さの評価に影響しました。

もちろん、繰り返せばどんな荒唐無稽な話でも信じさせられる、という意味ではありません。この研究では、明らかにあり得ない主張には反復の効果が見られないという境界も示されています。

ここから私たちが警戒したいのは、少しだけありそうな話です。「そんなこともあるかもしれない」という入口に、見覚えが加わります。裏付けが増えていないのに、納得だけが育つ。そこが、この錯覚の厄介なところです。


タイムラインは「証拠の束」ではない

SNSでは、一つの投稿が引用され、切り抜かれ、要約され、別のアカウントから何度も流れてきます。

10人が独立して同じ結論に到達したように見えても、元をたどれば、根拠のない一つの投稿を9人がコピーしているだけかもしれません。

投稿数は、証拠の数ではありません。

いいねの数も、再生数も、声の大きさも、断言の強さも、情報の正しさを直接保証しません。研究の知見を日常に引きつけて考えると、ここで警戒したいのは、繰り返し目にしたことによる親しみを、裏付けと取り違えることです。

見慣れた主張を、いつの間にか「みんなが知っている事実」に昇格させていないでしょうか。

誰の許可も得ずに。


“彼ら”が恐れる、たった一つの質問

情報を見るたびにすべての論文を読む。それでは日が暮れます。

まず、共有ボタンを押す前に一度だけ、こう尋ねてください。

「これは正確か?」

2022年に公表された20実験・計26,863人の分析では、正確さに注意を向ける短い働きかけによって、正しい見出しと誤った見出しを共有する意向の区別が改善しました。主に、誤った見出しを共有する意向が減ったことによるものです。[研究3]

ただし、これは米国の参加者を対象に、同じ研究グループが行った実験をまとめた分析です。主に測っているのは「共有したいと思うか」であり、あらゆるSNSで実際の拡散を必ず防げるという結果ではありません。

この知見を踏まえ、本記事では次の確認手順を提案します。

  1. 元情報へのリンクがあるか
  2. スクリーンショットだけでなく、原文を確認できるか
  3. 「研究で判明」なら、対象人数や研究方法が書かれているか
  4. 反対の結果や不確実性が省かれていないか

その場で真偽を決められなければ、「まだ分からない」のまま保留してください。裏付けを確認できない話を、事実として拡散しない。「念のため共有」が、次の人にとっての「何度も見た話」を一つ増やします。

断言しないことは敗北ではありません。

証拠がないのに断言するほうが、よほど簡単です。


今日からできること

次に、怒りや驚きを誘う投稿を見つけたら、こうしてみてください。

  • 見出しの特徴的な一文を検索する
  • 同じ文章を大量のアカウントが転載していないか確認する
  • 投稿からリンクをたどり、一次資料や公的機関の説明を確認する
  • 確認できなければ、拡散を保留する

あなたのタイムラインに何度も現れるものが、真実とは限りません。

それはただ、何度も現れたものです。見覚えを証拠に昇格させない。確認できないなら、拡散の列に加わらない。今回、持ち帰ってほしいのはこの二つです。

信じるな。出典を読め。


出典

  1. Dechêne A, et al.(2010)The Truth About the Truth: A Meta-Analytic Review of the Truth Effect. Personality and Social Psychology Review. 反復と真実らしさの評価に関する51研究のメタ分析。
  2. Pennycook G, Cannon TD, Rand DG.(2018)Prior exposure increases perceived accuracy of fake news. Journal of Experimental Psychology: General. 偽ニュース見出しへの事前接触を調べた実験研究。
  3. Pennycook G, Rand DG.(2022)Accuracy prompts are a replicable and generalizable approach for reducing the spread of misinformation. Nature Communications. 正確さへの注意喚起を扱った20実験の分析。

編集注

本記事は陰謀論的な語り口を使った風刺です。“彼ら”は認知の働きを擬人化した表現です。研究結果は集団レベルの傾向であり、すべての人・状況に同じように当てはまるとは限りません。

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