シン・『シン・ウルトラマンを観て…』*追記あり

 


この頃プライベートは引っ越し作業に忙殺されておりましたが、そんな中でもなんとか時間をとって公開初日に「シン・ウルトラマン」を観てきました。

まず率直な感想から言えば…

「思っていた以上にウルトラマンだった…」

です。

予想を遥かに凌いで良かったです。

予想というか、どちらかといえば私は、この「シン・ウルトラマン」が発表された時点でかなりの抵抗を感じてしまった方で…

「なんだよコレ!?何でカラータイマー取っちゃうのよ!?拗らせたこだわりウルトラマンなんて観たくないよ!こんなの世に出さないでよ!」みたいに思っており…

公開日もズルズルと延期を続ける中でも新しい情報は殆ど提示されず…

なんだかつるんとしたウルトラマンのシルエットだけが印象として残っており、映画としての全体像が一向に掴めずにいました。

正直、映画を見る直前までこの「シン・ウルトラマン」に対しては否定的な感情を抱いており…

「こんなの絶対面白いわけがない!」

と、真っ向から否定する気持ちで公開初日、朝一の回を観てきたわけですが…

私は自分の意見を180°変えざる得ませんでした…

てっきりCG祭りのイロモノ作品かと思いきや、「ウルトラマンとはなんぞや」と改めて考えさせてくれる映画でした。

1966年、初めて人類の前に現れた巨大異星人の衝撃を、再び現代に呼び起こしたというか、56年ぶりのファーストコンタクトを体現した作品であると感じました。

登場人物もしっかりキャラクターが確立されており、ストーリー展開もダレることなく見入る事ができましたし、「え?そんなネタを設定として引っ張ってくるの?」みたいな小ネタも満載で、娯楽作品としてかなり完成度が高いのではないでしょうか…

そして何より、現時点でかなりの動員数を獲得しているということで、「ウルトラマン」という存在がこれだけ一般社会に広く浸透してくれることは、とても喜ばしい事ですね。

とはいえ、コレまでの正史としてのウルトラシリーズでは、コレだけ一般社会から注目される事はまず無かったであろうという現実を受け入れるのは少し寂しい気持ちもありますが…

まぁ、色々と悩ましい側面も見えてしまう今回の大ヒットですが、どういう形であれ「ウルトラマン」が話題になるのは良いことでしょう。

というわけで、新居にもシン・ウルトラマン。
そんなにウォールナットのソファーとテーブルが好きになったのか、ウルトラマン。

*追記
大事なことを書き忘れていましたので追記します。

今回の映画で、私が20年ほど前から『いつかこんな日が来るんじゃないか』と思っていた事がとうとう現実のものとなりました。

それは『スーツメーション(着ぐるみ演技)が廃止され、全てCGによる特撮アクション』です。

コレはシン・ゴジラの時からそうであるといえばそうなのですが…ウルトラマンにおいて怪獣もウルトラマンも全てCGっていうのは初でしょう。

確かに人が入る前提のスーツでは造形や怪獣の生物感の表現にどうしても限界がありますし、人間が出来ることにも限界があります。

アナログの限界ですね。

一昔前のCGだったら、一目で『あ、CGで作ってる!』って分かってしまうお粗末なものでしたが…

現在のCG技術は、アナログの限界を飛び越え、現実(実写)との境界線を無くしてしまうまでに進化し、その進化は止まるところを知りません。

映像的に『見せたいモノを見せる、作る』という点においては、コレから先の時代、もうCGの独壇場でしょう。

CGであれば『殺陣の嘘』も必要ありませんし、殴るシーンでは実際に殴る(当ててる)映像作れますし、剣戟においても実際に斬ったり刺したり…なんでもござれです。

怪我や事故のリスクもありません…おまけに制作コストも抑えられるとなったらもう…

長い目で見れば、この先、映像作品においてはスーツメーションという文化は淘汰されていくものであると考えると、なんともいえぬ寂寥感に包まれます。

とはいえ…とはいえです。

やはり、本物の人間が演じるスーツメーションも血が通ったモノであり、CGでは再現しきれない迫力を生み出す事が可能であると信じています。*シン・ウルトラマンの劇中の戦闘シーンでも少し違和感がある箇所はありましたし…

先程の殺陣の嘘でいえば、実際に殴っている映像より、『殴っている様に見せる』映像の方が迫力があったりします。実際に当てる所謂「マジ当てアクション」って痛みや危険を伴う割には見た目的には地味になる場合が多いのです。

アクションにおいては、リアルよりフェイクの方がリアリティを生み出す事もあります。

着ぐるみ自体も、それはそれで味があり個性として確立しています。一概に『古い物』と一蹴できるモノではありません。

『シン・ウルトラマン』のウルトラマンや、怪獣達のCGモデルも所々のディティールに着ぐるみっぽさがあしらわれていたのはそういう事でしょう。

いくらCGの時代とはいえ、スーツメーションを『前時代のもの』としてバッサリ切り捨ててしまうというのは少し勿体無いとも思います。いや、思いたい。

まぁ、何はともあれ時代の流れには逆らえないので、今我々にできる事といえば、人々の記憶に残るくらいでしょうか…

日々一生懸命に己のやる事をやっていきましょう。

ということでトレーニングしますか。



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